PER, PCFR, PBR, ROE を理解し、企業の状態を把握する
最近、様々な株への投資をおこなっているが、企業の動向や投資判断のために、改めてそれぞれの意味を把握したい。
PER(Prise Earning Ratio), 株価収益率
PER とは下記の式で表される。
PER, 株価収益率 = 時価総額 ÷ 純利益 ( = 株価 ÷ 1 株あたりの純利益)
時価総額は「株価 x 発行済株式数」で表される。
PER が小さいと、「時価総額の割に株価が安い」となる。しかし、単純に株価が下がっているだけ、というのもある。 東証一部の企業の平均 PER が 15 くらい。
また、株価をあまり発行してなくて、純利益が高い会社は PER が低くなる。
メーカーなど業種的に純利益が低くなる会社は、PER が高くなる。あるいは、IT 企業のように上場したら火が付いて、時価総額が急上昇する会社も PER が高くなる(極端な場合には 100 を越える)。
PER の低い方が割安となるが、
- 単純に人気なくて株価が下がっている
- 一時的に純利益が上がった(が、次の保証はない)
- 会社の規模が小さい
という理由が考えられるため、一概にこの PER は買いとはならない。
そもそも投資判断のためには、「将来的に伸びるのか」ということが重要なため、PER が改善されているかというトレンドが重要
PCFR (Price to Cash Flow Ratio), 株価キャッシュフロー倍率
ここでいう Price は PER のときも同じだが、1 株の値段ことを指す。
PCFR, 株価キャッシュフロー倍率 = 時価総額 ÷ キャッシュフロー ( = 株価 ÷ 1 株あたりのキャッシュフロー)
キャッシュフローとは、現金や資金の収支のこと。つまり、企業がすぐに使える現金の残高。 例えば、レストランなどの飲食店は現金でやりとりすることが多いため、キャッシュフローの変動が激しかったりする。
基本的に、キャッシュフローが多い会社というのは、「すぐに使える現金が多い」ため、すぐに設備投資や営業活動が行える。逆にキャッシュフローが少ない会社は、急な出費で焦げ付く可能性がある。
PER が低いほど割安とあったが、例えば先行投資、買収などで純利益が下がった場合、PER は上がってしまう。攻めてる企業でこれから伸びしろがあるにも関わらず、PER は上がってしまうのだ(IT 企業が PER 高くなりがちな理由の1つ)
PCFR の低いほうが割安となるが、
- 業態によって、キャッシュフローの高低がある
- リスクを取って現金を利用、株主への配当、従業員へ還元などで現金を消費している可能性もある
とこちらも一概にこの値が良いというのは言えない。ただし、キャッシュフローが低すぎる会社はリスクが高いので焦げ付きそうかどうかはそもそもウォッチしたほうがよい
PBR (Price to Book Ratio) , 株価純資産倍率
PBR とは下記の式で表される。
PBR, 株価純資産倍率 = 時価総額 ÷ 純資産 ( = 株価 ÷ 1 株あたりの純資産)
純資産は基本的に株主からの出資金と事業活動から得た利益を集めたものを指す。純資産は「総資産 - 負債」のため、純粋に企業がもっている資産となる(つまり、余裕がある状態)。
純資産が高いというのは企業として健康な状態だが、守りの体制に入っていて、企業として利益を増やすことを妥協している場合がある。
かつて、 村上世彰 氏が「物言う株主, アクティビスト」と言われたのは、日本企業は純資産を蓄える一方で、その利益を株主に還元しないというケースが多かったため、「もっと積極的にリスクを取る、でなければ株主に還元せよ」と主張したためだ。
この主張は株主側から見ると大切で、企業は投資をしてくれた株主に対して配当などを通じて還元する意識を持つ必要がある。 しかし、90年代にバブルが弾けて、守りの体制に入った多くの日本企業は、「この先何が起こるか分からないし、日本も人口減って国内市場は縮小してるし…」という恐れから、「とりあえず潰れないようにお金を蓄えておこう(= 純資産を高める)。株主には申し訳ないけれど」となってしまった。
そのため、PBR の低いほうが割安となるが、
- 安定志向に走り、斜陽に差し掛かっている(伸びしろがない)
状態になっている可能性があるため、注意が必要。
純資産 = 自己資本、株式資本と言われたりするが、バランスシート上では細かく言えば異なり、
純資産 = 自己資本 (= 株主資本 + その他の包括利益累計額) + 新株予約権 + 非支配株主持分
となっている。新株予約権はストックオプションなど、非支配株主持分は 20 % の議決権を持つ少数株主が持つ株など、ホールディングスのような体制を持つ企業で関わりが出てくる。 そのようなケースでなければ、差が無視できるくらいの値になるため、純資産が自己資本、株主資本に近似される。
ROE (Return on Equity), 自己資本比率
ROE とは下記の式で表される。
ROE, 自己資本比率 = 純利益 ÷ 自己資本
ROE が高いということは、株主による資本が純利益につながっているため、効率よくお金が使えている企業となる。 PBR でも述べたとおり、自己資本を蓄えてリスクを取っていない企業は ROE が下がる。ROE の目安は 8% と言われたりする。
ROE は高いほうが基本的によいのだが、経営的に攻めていることにより負債の多い可能性があり、事業が傾いた途端に一気に焦げ付く可能性がある。
例えば、2019/08/18 現在の東証一部 ROE ランキングを見ると、ROE:株式ランキング - Yahoo!ファイナンス
ZOZO は ROE 50% になっているが、ジャパンディスプレイや曙ブレーキのような企業は ROE がそれぞれ -256 %, -122 % とかなり厳しい状況になっている。
ROE と負債、そのトレンドを確認すれば、企業が攻めていて株の価値が上がりそうなのか判断できそうな気がする。