最近、芸術が楽しい
自分自身なにか物を作ったり、絵を描いたりするのが好きなのですが、最近までは「ふーん、芸術ねぇ、学校で習った気がするわ」くらいにしか思っていませんでした。
ところが、美術館や博物館で色々な作品を見て、その説明を読むたびに「あれ、これって見方さえ分かってくれば、結構面白いんじゃない?」と思うようになりました。
その見方について、この記事では述べたいなと思います。
芸術素人の拙い感想です。あらかじめご了承ください。
いつの時代もブレークスルーが求められている
わかりやすい例で言えば、ピカソの絵です。ピカソの絵といえば、『三人の音楽家たち』
のようにカクカクした絵(キュビズム)が有名で、僕が子供の頃は「この絵よりももっとキレイな風景の絵とかの方が良いのにな」と思っていました。
しかし、有名な話ですがピカソは小さい頃にすでに天才的な画力があり、15歳のときの作品である『科学と慈愛』を見ると、
いかに写実的に絵を書く能力があるかわかります。
参考
しかし、ピカソがピカソたるのは、キュビズムという これまでになかった新しい作風、芸術の在り方を作り出した からです。 もし少年時代に描いていた写実的な絵をピカソが描き続けていたら、今ほどの評価はなかったかもしれません。
印象派、ポスト印象派のブレークスルー
絵画だけでも年代によって、様々な画家が様々なブレークスルーを起こしています。
- 19世紀:印象派、ポスト印象派では、歴史的な絵画にとらわれず、現実世界の雰囲気や光加減、流れを表現した
- 20世紀:キュビズムが、絵画は1視点から描くものという常識を変えた。またシュルレアリスムでは、妄想や頭の中の世界を絵画にした
では、古典的な歴史画はブレークスルーがなかったのかというと、そんなことはありません。 歴史画は歴史画で厳格な描き方へ戻したり、あるいはあえて選ばれなかったテーマを選択したりと、いかなるときでも画家が新しい試みを行っています。
色々な芸術にて色々なブレークスルーが起こっている
絵画は絵という比較的分かりやすい形で表現されていますが、もちろん他の芸術作品についても同じことが言えます。
例えば、音楽でもクラシック、ロック、パンク、ヒップホップ、ブルーグラス、ヘビーメタルなど新しいジャンルが生まれた背景には、ブレークスルーがあります。
その他にも、書道や彫刻、骨董などでも過去を遡るとブレークスルーとそれを生み出すきっかけになった芸術家の存在があります。
art という意味の本当の広さ
英語の art は日本語で 芸術 と訳されがちですが、アメリカでは経営や武道も art と呼ばれたりと、その意味の広さはとても広いです。
そして、どの art にも必ずブレークスルーが存在し、それを成し遂げた芸術家の努力や天才的な思いつきが裏側には存在します。
子供のころに芸術が楽しめなかったのは、ただその裏側を想像できなかったからです。
いまでは、「どうしてこの芸術家は評価されるのだろう?」ということや「どんな新しいことをしたのだろう?」という見方をするだけで、博物館や美術館が楽しくなります。 特に自分がエンジニアだからというのはあるかもしれませんが、過去の天才たちの思いつきが、どうやってできたのか、それがどう世界へ影響を与えたのかを考えるとその芸術の価値がじわりじわりと分かってくる気がします。
そうすると、博物館や美術館の入館料って安いものなーと思えてきます。