世の中は不便である

「便利な世の中」では先に進まない


Posted on Sun, Dec 18, 2016
Tags lifehack, tech

背景

「便利な世の中になった」とよく耳にしますが(特に高齢の方から)、エンジニア的には「そうか、便利になったのか。じゃあ、もう何も要らないね」とはなりません。

世の中はまだまだ不便なのです。

じゃあ、何が不便なのかを考えて、これから100年後にどうなっているかをちょっと空想してみようと思い、整理してみました。

人がやらなきゃいけない仕事を減らしたい

僕の大きな関心事として、「学問と芸術のみを考えて生活していた古代ギリシャ時代をテクノロジーで実現したい(*注)」 というのがあり、そのためには、できるだけ人は働かずに生活できる仕組みが必要になると考えています。

*注: 古代ギリシャでは多くの人々を奴隷とすることで、ごく一部の人が学問と芸術に専念していました。その奴隷をテクノロジーで代替して 全人類が楽な生活(生活コストのかからない)ができないか という意図です。

古くは織物機械の発展によるラッダイト運動や、近年の人工知能の発展により人々の雇用が脅かされているという話がありますが、この流れは市場主義で経済が動いている以上、防ぎようがありません。仕事の自動化、効率化を怠った企業は、それらを行った企業に比べての作るサービスの品質・量が落ちてしまい、結果的にその企業の従業員の雇用は失われてしまいます(どちらにせよ)

現代で PC を全く使わない企業は少ないように、働く人の意思とは関係なく、自動化は進められていきます。そのため、企業で働く人々はできるだけ、自分たちの仕事が楽になるための工夫を考えていかなければなりません。

衣食住の効率化

人が生きている中で欠かせない衣食住についての効率化・自動化について考えてみます。 仮に衣食住が0円で実現できたとしたら、世界中の多くの人が生活のため働かずに済むでしょう(娯楽を楽しみたい人はそのために働く必要がありますが)。

衣料

衣食住の中で最も効率化されているのは衣料でしょう。例えば、洋服は安いものであれば本当に安くなりましたし、多少お金を出してユニクロで買えば品質の良い洋服を買うことができます。 古着であれば無料で手に入れることもでき、オシャレなものやブランドを気にしなければ、そのコストはかなり低いと言っても良いでしょう。

その中でもコストがかかるのは、人件費と材料、運搬コストです。

では、食べ物はどうでしょうか。食べ物はまだ無料で手に入れるのは難しいです。大きく問題となるのは、やはり人件費、牛や野菜を育てるコスト、そして運搬コストです。 農家の方もいろいろな工夫をして、特に育てるコストを減らす努力はされていますが、テクノロジーで解決する余地はまだまだ残されていると考えられます(100年後を想像してみると)。

日本の農家では「人が大切に育てる」という印象がまだありますが、アメリカやオーストラリアでは農業を行うのは基本的に機械です。 もちろん、狭く入り組んだ土地で農業を行う必要のある日本と、広大で平たい土地のあるアメリカなどで効率化の単純比較をするのは難しいのですが、だからこそ日本で農業を効率化できる機械ができれば、アジアなど山岳地域でも効率的な農業を行うことができ、非常に画期的なものとなるでしょう。

また品質を高めつつ効率的に生産したいという点では、植物工場も注目されています。日照条件や水やりなどを調整できる分、確実に野菜を育てられれるメリットがあります。 ただし、土地の問題や照明に必要な電力などを考えるとまだコストが高いと言えるでしょう。ちなみに、日照の必要としないもやしは工場で生産されています。

家も無料で手に入るにはまだ時間がかかりそうです。こちらは人件費、そして何よりも材料費、土地代、運搬コストがかかります。 ただ人工知能により柔軟な家の設計、工場における木材、鋼材の自動整形ができたらどうでしょうか。 できるだけ人手を必要とする作業を減らす工夫をしていくことで、コストは減っていきます(もちろん、機械の研究開発費、 それ自体の生産にコストがかかりますが)

効率化で注目される技術

以上のように列挙していくと、人件費、材料費、運搬コストが古代ギリシャ時代の実現の大きな課題となっています。 それらを減らすことのできる技術は必ず役に立つと言えるでしょう。その中でも運搬コストは現在、自動運転技術によりブレークスルーが起ころうとしています。 人件費、材料費も人が必要な箇所を洗い出し、それを自動化していくことで、世の中はまだまだ便利になります

無理に働こうとしないのが大切

どんな人間にも共通して「楽に生きたい」という気持ちはあるはずです。僕も極力、辛いこと(朝の満員電車とか)ややりたくないことは避けて、自分が満足できることを行えるようにしたいです。 そんなときに、100年後の想像してみて、自動化できそうなところ、効率化できそうなところを考えていければなぁと思っています。

世の中はまだまだ不便なのです。

参考図書

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人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの

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